30代になって、幸せなことほど友だちに話せなくなった
学生の頃から15年以上の友だちがいる。
1対1ではなく、いつも決まった複数人で集まる関係だ。
20代の頃は本当に楽しかった。
会えば仕事の話、付き合っている人の話、最近ハマっているもの。話題に困ることはなかった。
社会人になっても年に1、2回は会い、コロナの頃はZoomで通話もしていた。
結婚する人が出てきたり、子どもが生まれたり。
イベントのたびに集まっては、みんなでお祝いをした。
この関係は、このままずっと続いていくものだと思っていた。
30代に入ってから、近況が聞きづらくなった
変化は30代に入った頃からだった。
既婚、未婚。子あり、子なし。
子なしの中にも、選択なのか、不妊治療中なのかという違いが生まれた。
地元を出て東京で働き続けていた子が、家族の事情でUターンせざるを得なくなった。
結婚間近だと思っていた子が、実は破談していたこともあった。
そんな出来事が重なるうちに、
「最近どう?」という当たり障りのない質問しかできなくなった。
本人から話してくれたら聞ける。
でも、こちらから踏み込むことはできなかった。
お互いに配慮しすぎた結果、誰も話さなくなった
誰かにとっての地雷を踏みたくなかった。
自慢だと思われたくなかった。
何か刺激になる存在になりたくなかった。
だから、自分の近況も話さなくなった。
今思えばそれは、相手への配慮だけじゃない。
グループの空気を乱さないための、自己防衛だったと思う。
複数人で集まる関係だからこそ、
誰か一人に踏み込むと、別の誰かが傷つきそうで、
結果的に、全員と浅い話しかしなくなった。
「妊娠した」ではなく、「生まれた」
ある年、突然赤ちゃんが4人生まれた。
「妊娠した」ではなく、「生まれた」。
報告は、出産後だった。
一人から連絡が来ると、
「うちも来月生まれるの!」
「何月に生まれる予定だった!」
と次々に報告が集まり、同級生になるベビーが4人になった。
正直、面白すぎた。
1年に1回は会っているのに、誰も妊娠していることを話題にしていなかったなんて。
同時に、少し怖くもなった。
ここまでお互いを気遣い合って、
本当の近況を隠し続けていたんだと思ったから。
薄い会話だけが残って、寂しくなった
今、私たちが話しているのは健康の話が多い。
アンチエイジングとか、体調のこととか。
それはそれで悪くない。
でも、「今の自分」を持ち寄る感じはなくなった。
仲が悪くなったわけじゃない。
誰かを嫌いになったわけでもない。
ただ、配慮しすぎた結果、
踏み込む場所がなくなってしまった。
もうすぐ、1年ぶりに集まる
もうすぐ1年以上ぶりに、このメンバーで集まる予定がある。
いったい、何を話すんだろう。
もし私が20代だったら、きっと今の近況を話す。
0歳児の育児が久しぶりで、楽しくて楽しくて仕方がないこと。
上の子たちが赤ちゃんの面倒を見てくれて、その様子を見るだけで癒されること。
夫が家事も育児も積極的で、家族で協力して暮らしていること。
幸せで幸せで、幸せなことを、私はちゃんと自覚している。
でも、友だちには言えない。
幸せなことほど、言えなくなった
本音が言えないなんて、
友だちの幸せを喜べないなんて、
それはもう友だちじゃないと言われるだろうか。
たしかに、そう言われても仕方がない気もする。
でも私たちは、喜びたい気持ちがないわけじゃない。
ただ、誰かを傷つけるかもしれない言葉を、
あえて話すことを選んでこなかっただけだ。
今の私は、正直とても幸せだ。だからこそ、言えない。
そのまま友だちに差し出す勇気が、今の私にはない。
この幸せが、
誰かにとっての自慢にならないか。
誰かの心をざわつかせないか。
そう考えてしまう。
お互いを傷つけないように選んだ沈黙が、
いつの間にか、私たちの会話を奪っていた。
大人になった友だちは、どこに向かうんだろう
この先、また踏み込める日が来るのか。
今の自分を持ち寄って話すことはできるのか。
それとも、この距離感のまま続いていくのか。
答えはまだわからない。
でも、
「仲がいいのに、本当の近況を話せない」
そんな友情があること自体は、きっと珍しくない。
これは、誰かを責める話じゃない。
気遣いがから回って、
それでも、うまくやろうとした結果の、
少し不器用な友情の話だ。
追記:1年ぶりに会ってどうだったか
1年ぶりに会った友だちは、顔を見られるだけで嬉しくて、
最初は少し照れくさく、思わずニヤニヤしてしまった。
子連れで来た友だちもいて、子どもの成長に驚いた。
自分の子ではないのに、まるで親戚のような気持ちで、その成長が素直に嬉しかった。
そして、もうすぐ結婚するという友だちの嬉しい報告も聞くことができた。
話題はやっぱり健康のことや、アンチエイジングのこと、仕事のこと。
学生時代の思い出話もした。
特別に踏み込んだ話は多くなかったけれど、不思議とそれで十分だった。
本音で話せることが少なくなったとしても、
それは関係が薄くなったからではない。
お互いを気遣い、守ろうとした結果なのだと、今は思える。
そう考えられたこと自体が、
私たちなりに大人になった証なのかもしれない。
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