私は長いあいだ、自分は「お金の不安が強い人間」だと思っていた。
節約しているつもりなのに安心できないし、自分のためにお金を使うと、なぜか罪悪感が残る。

でも振り返ってみると、怖かったのは「お金がないこと」そのものではなかった。
お金をめぐって生まれる緊張感や、責められる空気、疑われる感覚——それがずっと体に残っていた。

この記事では、中学・高校時代に祖母の家で下宿していた頃の体験を手がかりに、
大人になった今も続くお金への不安や衝動、その背景にあった感覚を整理してみたい。

中学・高校時代の下宿生活が、お金の価値観に与えた影響

私は中学2年生から高校3年生まで、祖母の家で下宿しながら高校に通っていた。
親から祖母へは、月に3万円の下宿代が支払われていたと思う。

高校生の頃のお小遣いは月5000円。
それとは別に、学校で必要なものがあるときや、参考書・ノート・文房具などを買うときは、ノートに用途を書いてお金をもらう仕組みだった。

お金は封筒に入れられていて、その封筒と帳簿を祖母が管理していた。

今振り返ると、親が祖母に渡していた下宿代の中から、私の生活費や必要経費も出ていたのだと思う。
食費や光熱費を考えれば、3万円で足りていたはずはない。

親は私たちを祖母に預けてくれていたけれど、その生活のこまかな空気までは、きっと共有されていなかったのだと思う。

お金を使うことに罪悪感を持つようになった理由

祖母は生活のあらゆる場面で厳しかった。
今思えば、祖母なりの責任感や不安もあったのだと思う。

たとえ自分のお小遣いの範囲であっても、買い食いがバレれば嫌味を言われた。
友だちと放課後に出かけるのも気を使って、部活だと嘘をついたり、図書館で勉強していると伝えたりしていた。

夜にテレビを見るのは週1時間まで。
電気代の問題というより、「勉強のために下宿しているのだから、無駄な時間を過ごすな」という意味合いが強かったと思う。

私は、お金を使うことにも、時間を楽しむことにも、
いつも少し身構えていた。

家庭内で感じていた「お金がない」ことへの緊張感

高校2年生になる頃、妹も同じように祖母の家で下宿することになった。

妹も私と同じ封筒から、必要なものがあればお金を出す。
すると、帳簿と残金が合わないことが何度も起きた。

どちらかが書き忘れたのか、
それとも自分のお小遣いのために使ったのか。
真相はわからない。

ただ、そのたびに祖母からお金のことで責められた。
この時間が、とにかくストレスだった。

この頃から私は、
「お金がない」という状態は、人を疑わせ、空気を悪くするもの
という感覚を強く持つようになった気がする。

お金の使い方をめぐる価値観の違いと混乱

もうひとつ、当時からずっと腑に落ちなかったことがある。

祖母は、お金のことで私たちに不満を漏らす一方で、
食費にはかなりお金をかけていた。

わたしたちが育ち盛りだから、という理由もあったと思う。
配膳された量は多く、たとえお腹いっぱいでも残すことは許されなかった。

家には、よくわからない高級なチーズや、常に買い置きされているジュース、立派な梅干しがあった。

たしかに美味しかった。
でも正直に言えば、こう思っていた。

そのお金を使わないでいいから、
お金のことで私たちを責めないでほしかった。

節約すべきところと、そうでないところ。
その基準が、私には最後まで理解できなかった。

大人になっても残っているお金への不安と癖

誰か一人の問題だったとは思っていない。
大人たちもそれぞれが余裕のない状況の中で、
子どもだった私は、その緊張感をまともに受け取っていたのだと思う。

私は今でも、

  • お金が足りないかもしれない、という不安
  • 自分のためにお金を使うときの罪悪感
  • 「ちゃんと使えているか」を気にしすぎる癖

を持っている。

お金そのものが怖いというより、
お金をめぐる緊張感や、責められる空気が、
今も体に残っている。

まだ整理の途中だけれど、お金に対する不安や罪悪感は、人生のさまざまな場面で形を変えて続いてきた。

奨学金の返済について書いたこの記事も、私にとっては同じ延長線上にある。
▶︎奨学金は何歳まで返す?36歳で返済が残る私が感じた後悔と違和感


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ゆうちき
コーヒー牛乳とK-POPが好きな、3人の子どもと犬猫、夫と暮らしています。 にぎやかな毎日を少しずつ整えながら、家事・育児・暮らしの中の工夫や気づきを発信しています。 忙しい日々にも“ひとさじの戦略”を添えて、ちょっと楽しく、ちょっと賢く。
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