結婚して10年。大きなトラブルもなく、生活が破綻したこともなかった。それでも今振り返ると、我が家の家計はずっとブラックボックスだったと思う。

問題が起きていなかったから、問題だと認識していなかった。それが一番の問題だった。

生活費制で止まっていた思考

結婚1年目、妊娠をきっかけに私は仕事を辞めた。 それからは、夫の給料から毎月生活費をもらい、その範囲で家計をやりくりする形になった。

生活費の中には、私のお小遣い2万円と奨学金の返済分3万円も含まれていた。そこから食費、日用品、子どもにかかる細々したお金を支払う。家賃や光熱費、携帯代などの固定費は、夫が管理しているお金から払ってもらっていた。

正直、余裕のある生活費ではなかった。だから私の意識は常に「この枠の中に収めること」だけ。お小遣いと生活費の区別も曖昧なまま、毎月ほとんど使い切っていた。

貯金はほぼゼロ。それでも「夫が管理してくれているお金で何とかなるだろう」という気持ちがどこかにあった。働いていない自分が、家計全体に口出しする立場ではない。そんな無意識の線引きを、自分自身にしていた。

自分で稼ぎ始めて起きた、静かな分断

子どもが4歳と2歳になり、下の子が幼稚園に通い始めた頃。細々と続けていた在宅の仕事に、少しずつ時間をかけられるようになった。

知り合いの紹介などもあり、あるとき10万円ほどのまとまった収入が入った。会社を辞めてから初めて手にした「自分が自由に使えるまとまったお金」。嬉しかったし、誇らしかった。

そのお金で、私は洗濯機を買った。

当時、洗濯は1日2〜3回していた。洗濯機は壊れていなかったけれど、結婚前から使っている小さなサイズ。家族には明らかに合っていなかった。

サイズの大きい洗濯機に変えれば、1日1回で済む。それは分かっていたのに、「壊れていないのに買い替えたい」と夫に言うことに、なぜか躊躇していた。

結局、「仕事でまとまったお金が入ったから、洗濯機を買い替えようと思う」と伝えた。心のどこかに「私のお金で買うんだから、文句はないよね」という気持ちがあったと思う。

その後、30万円を超える収入が入ったときには冷蔵庫も買った。これも家族には小さすぎたけれど、壊れていないから買い替えを先延ばしにしていたものだ。

自分で稼いだお金で生活が楽になるのは、確かに嬉しかった。でも同時に、夫には口出しさせないという、意地のような感情もあった。

今ならわかる。それは、働けなかった期間に感じていた負い目の裏返しだった。

聞かなかったし、聞かれなかった10年間

少しずつ収入が安定し、自分の欲しいものは自分のお金で買えるようになった。子どもにかかるお金も、自分の判断で使えるようになった。

夫はそれを禁止したことは一度もない。ただ、私が気後れしていただけだった。

そして不思議なことに、夫は私の収入がいくらなのかも聞かなかったし、家計に入れろとも言わなかった。私がいくら貯金しているのかも聞かれたことはない。

一方で私も、夫の給料がいくらなのか、貯金がいくらあるのか、保険がどうなっているのか、何も知らなかった。

禁止も支配もなかった。ただ、お互いに10年間ずっと触れられない場所があった。

FP相談で突きつけられた現実

最近、お試しでFPの家計相談を受けた。無料で相談でき、最終的には保険の提案につながるサービスだったけれど、「一度見てもらってもいいか」と思い申し込んだ。

そこで聞かれた質問に、私はほとんど答えられなかった。

  • 貯金はいくらあるのか
  • どんな保険に入っているのか
  • 家族全体の収入はいくらか

答えられない私に、FPの方もアドバイスのしようがない。

そのとき初めて、「お金が足りる・足りない以前に、何もわかっていない状態は相当まずいのでは?」と身にしみて感じた。

家計を開くために、まず自分が開いた

そこで、まずはお金の流れを把握しようと『支出管理+ライフプランシート』を作ってみることにした。

使ったのは、この動画で無料配布されている『支出管理+ライフプランシート』。

サンプルを参考にしながら、食費、日用品、子どもにかかるお金、習い事、光熱費、携帯代……わかるところから、とにかく入力していった。

でも、どうしても埋まらない部分があった。

夫の給料。現在の貯金額。

ここが空白のままでは、家族全体の家計は完成しない。

10年間開かずの扉だった場所に踏み込むのは、正直とても怖かった。それでも、このまま曖昧な不安を抱えて家計を続けるのは嫌だった。

だから、まずは自分の手の内を明かすことにした。

  • 月々の収入
  • 奨学金の支払い額と残高
  • これまでの繰り上げ返済
  • 貯金額とNISAの積立

夫は敵ではない。家族であり、仲間。そう分かっていても、すべて話すのは緊張した。

でも、自分が先に話したことで、夫にも聞きやすくなった。夫のお小遣いとして使っているお金、貯金の状況も、洗いざらい共有できた。

ブラックボックスが透明になった日

こうして、我が家のブラックボックスは初めて透明になった。『支出管理+ライフプランシート』が、ようやく完成した。

見えてきた現実は、収入に対して貯金がかなり少ないということ。

これは、夫婦2人ともがどんぶり勘定だったこと、そして家計として団結できていなかったことの結果だと思う。

でも、今気づけた。子どもに大きなお金がかかる前に、意識を共有できた。

完璧な家計管理ではない。それでも、「誰も説明できない家計」から「夫婦で向き合える家計」にはなれたと思っている。

これが、我が家がブラックボックスを開けた話。


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ABOUT ME
ゆうちき
コーヒー牛乳とK-POPが好きな、3人の子どもと犬猫、夫と暮らしています。 にぎやかな毎日を少しずつ整えながら、家事・育児・暮らしの中の工夫や気づきを発信しています。 忙しい日々にも“ひとさじの戦略”を添えて、ちょっと楽しく、ちょっと賢く。
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